横浜の下町の大問題児、仕出し弁当屋「うお時」の三代目若旦那のブログ。もう十分、アラフォーなのに毎日、始末書を書いてます。。
横濱うお時コミュニケーションボード
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2013年03月31日

2013年3月韓国訪問記③(ユ・チュンボク氏と懇談)

3月26日(午後)

この日、子供の頃、横浜で一緒に遊んでいた、在日3世の友人、リ君と
ソウル・ロッテホテルで待ち合わせし、2人で数年ぶりにランチしながら、
思い出話や家族等の近況報告。
でも、一番、面白かったのは、お互いのお腹周りのお肉の話かな。(笑

ちなみに、彼とのランデブーの為に、初めて、1人でソウル地下鉄を利用。
基本的には東京メトロと同じような方式で、僕の宿泊先がある
高速バスターミナル駅から、ミョンドンまで、乗り換え1回で
無事に辿りつく事が出来ました。
正直、高速ターミナルのホームを間違えていないか、心配でしたが。(笑

その後、一旦、ホテルに戻り、ツアーに合流すべく、また、地下鉄で移動。

海鮮の料理屋さんで、ユ・チュンボク氏との懇談に参加。


(中央のメガネをかけた男性が、ユさんです)

このユさん、ソウル市の中心部麻浦(まっぽ)区にある、ソンミサンと呼ばれる
地域の町興しの仕掛け人で、彼が手がけたこの地区は、
ソンミサン・マウル(マウルは村の意味)と呼ばれ、
現在ソウルで、「子育てをしたい街」「住みたい街」として人気が高まっています。

ソンミサン・マウルに関しては、下記、参照。
http://www.slideshare.net/TakujiHiroishi/ss-8835670

食事を摂りながらのお話でしたが、ソンミサン・マウルの成り立ち、遍歴
そして、そのプロセスで如何に住民が活動しやすい支援団体を作るか?
また、その活動を行政と、どのように進めてきたのか?
非常に参考になるお話を拝聴する事が出来ました。

僕の方からは、地元、横浜・黄金町を中心としたエリアの町興しに関して
自分なりの見解・分析を踏まえたうえで、御相談をさせて頂き、本当に丁寧に
そして分かりやすく、ご意見を伺う事が出来ました。

実感したのは、やはり、住人のコンセンサスを得るには、途方もない時間と
エネルギーが必要。そして、それを行う為には、行政との距離感を
保ちつつ、決して、行政が求める、1年単位の結果ではなく
住人達による、地に足がついた成果を生み続ける事の重要性を改めて感じた次第です。

最後にユ氏が、「町おこしの現場を知ってる者どおし、よりリアルで
難しい問題をお話出来て嬉しかった」とおっしゃって、握手をして頂いたのが
本当に嬉しく、印象的でした。

私事ながら、翌日の最終日、僕は早朝便での移動の為、
参加する事が出来ず、これが最後のプログラムとなりました。
総括は、明日にでもまとめようと思いますが、
治田さんをはじめ、様々な方々と、意見交換しながら
この視察旅行に参加出来た事、本当に意義があったと思います。

この場をお借りして、御一緒して頂いた参加者の皆様
現地で通訳をしてくださった、桔川さん、コンさん、
そして韓国で、色々なお話をしてくださった皆様に、
心より御礼を申し上げたいと思います。

本当にありがとうございました。。。

  

Posted by 仕出し弁当「濱乃や」 at 11:082013年3月韓国訪問記

2013年03月30日

2013年3月韓国訪問記②(ソウル市冠岳区)

3月25日午後

午前中は①の都市農業を視察。
午後から、韓国の社会的企業、及び、支援センター、行政府を訪問。

社会的企業とは、一言でいえば、社会的弱者層を救済する為に、
国が率先して、そういった人々を雇用する企業を認定し、育成していく制度の事。

この日は・・・・

銅雀(トンジャ)区にある、社会的企業アイテムショップ『36.5ストア』


冠岳区(クワナッ)区の『分かち合い餅屋』、『豆腐事業団 コンカクシ(高齢者雇用)』

(豆腐事業団製造のお弁当を頂きました)

『社会的企業支援センター』そして、冠岳区庁舎を訪問し、ユ・ジョンピル区長と面談、
その後、この『社会的企業支援センター』が支援している、セスネット青年起業家との
会食と、朝9時~21時過ぎまでの、ぎっちりなスケジュールに相成りました。


(区庁舎にて、盛大にお出迎え頂き、恐縮してしまいました)

この日の視察で興味を感じた事は・・・・
例えば、不況時において、政府が財政出動をして、一過性の雇用創出では無く
社会的弱者救済のための企業を創出し、そこを行政がサポートしていく事で
継続的な雇用拡大を目指しているのが特徴的でした。

より詳しく書くと、日本でも同じような政府・行政の助成金はありますが
それは、その企業の運営にかかる資金(人件費や管理費の一部等)を行政が
負担するのではなく、その企業で生産された商品を行政が買い取る事で
企業を存続、永続させている点が、非常に面白いと思いました。

確かに、運営にかかる費用負担があれば、その企業、組織は存続できます。
しかし、社会主義国家における計画経済の生産体制が、
その勤労者のマインドを向上する事が出来ず、破たんしていまった様に、
この方式であれば、その生産物のクオリティや生産性の向上は望めない、と。
なので、生産物を買い取る事で、一定の企業努力を貸す、という考え方、視点は
日本の社会福祉を推し進めている団体、企業に向けてのサポートの面でなく
そこが、非常に特徴的で驚いた次第です。

逆説的に考えれば、行政が買い続けなければ企業が存在できない、
そこに、韓国社会における貧困問題の根深さを感じずにはいられませんでした。


追記:
今回のツアーをガイドして頂いた、桔川さんが、社会的企業に関して、レポートを
公開されていますので、下記に貼り付けておきます。この問題に関して、非常に
明確にまとめられていますので、是非、ご参考になさってください。

≪NPO法人 日本希望製作所 桔川さんレポート『韓国の社会的企業の現状』≫
http://www.slideshare.net/TakujiHiroishi/ss-8534270


おまけ:
今回、訪問した冠岳区(クワナッ)区は、東京における文京区のような、
大学がたくさんある街。
ユ・ジョンピル区長は、学問だけは、貧富の隔てなく平等、と考えられていて
就任以来、図書館の設置に積極的に務められています。
実際、区役所の中にもありましたし、地下鉄駅構内にも、日本でいう宅配ボックスのような
注文・受け取り式の図書貸出し施設まで、整備されています。
で、こんな本をみつけちゃいました。。。

まさか、この本を韓国の、しかも行政の図書館で見つけるとは。(笑

ちなみに、区長は村上春樹、偶然乗り合わせたタクシーの運転手さんは村上龍が好き、と
おっしゃってました。日本文学、かなり韓国で読まれているようで、驚きでした。。  

Posted by 仕出し弁当「濱乃や」 at 11:022013年3月韓国訪問記

2013年03月29日

2013年3月韓国訪問記①(都市農園)

昨日のブログでも触れましたが・・・・
3月24日~27日まで、韓国・ソウルに出張致しました。

多分、多くの方が「何故?」と。

実は、以前も、僕のブログに登場されている、
起業家支援財団(,mass×mass関内フューチャーセンター)の治田さんから
韓国で社会的企業について知るツアーがあるので、と
お誘いを受けたのが、その理由です。

24日夕刻にソウル着、27日は早朝(8:50)関空に向けて出発と言う事で、
実質、2日間、内容ビッチリの行政視察のような旅と相成りました。
その模様を2~3回に分けて、備忘録よろしく、このブログに纏めたいと思います。

25日午前中 「都市農業(農園)」訪問。

この日は、ソウル近郊で行われている都市農業について視察。
全く、前知識の無い状態で僕が勝手にイメージしていたのは
横浜近郊の農家さん、その訪問なのかなぁ・・と。

でも伺ってみたら、全く、想像もしていない内容でした。

つまり、この「都市農園」、貧困者、社会的弱者の為に行われている
自給自足的ムーブメントなのです。

実は、韓国は、その急速な経済発展の裏側で、日本でも考えられないような
社会的格差が生まれています。

その中で、都市近郊に農場(農園)を作り、そこを貧困者層に
無料で貸し出したり、あるいは、貧困層に農業に生産量の中から
一定量を寄付させる事を条件に、農業や環境に興味のある一般市民に
農園を貸し出す。
そして、そこで栽培された野菜を、社会的弱者に提供する事で
彼らの生活を直接的にサポートしている訳です。
つまり、販売という概念が今のところ無い、そういう形態の農園なのです。

そこで生まれる疑問・・・
では、この都市農園を運営、サポートしている団体の収益源は??

これが面白いのですが、堆肥の生産、販売や
その堆肥を作る容器の販売、あるいは、そのプロセスを学校などを通じて
レクチャーする事で、収益を確保している訳です。
もう少し具体的に書くと、学校では、環境問題への取り組みとして、
この都市農園の話をレクチャーするだけでなく、給食の残飯を利用した
堆肥づくりを実際に行う事で、教育的には環境問題への興味、関心を醸造
現実的にはゴミ問題の1つの解決方法となりうるわけです。


(学校に設置された、堆肥づくりポスト。今年度は数か所だら、
 来年度には100を超えるとの事)

つまり、横浜の都市型農業とは、全く異質の農業形態。
目的は社会的弱者の救済、しかもそれを推し進める為に、
環境問題への興味・関心、そして、ある種の解決方法を周囲に広めることによって
運営母体の収益化を図り、拡大していく。
そのムーブメントが「都市農業」だったのです。

この訪問を通じて学んだことは・・・・
韓国が抱える、社会的貧困問題、それが予想以上に深刻であるという事。
その貧困層を救済する為に「社会的企業」という制度を設け、
手厚く保護している、その国を挙げての試みを、今回の視察で学ぶことになります。

朝早い時間の訪問でしたが、驚きと現実問題の深刻さに衝撃を受けた
訪問となりました。

追記:
今回、都市農業についてお話を頂いた、アン・チョランさん
実は、この本を見て、都市農業を始めようと考えられたそうです。
  

Posted by 仕出し弁当「濱乃や」 at 12:462013年3月韓国訪問記